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1979年(昭和54年)刊行。筆者は1920年生まれ、前田啓介が定義するところの戦中派だ。海軍の主計兵(烹炊兵)として戦艦霧島に乗艦。本書は艦内兵士のリアルが挿絵を交え描写されている。真珠湾攻撃とミッドウェー海戦という歴史的な戦闘に遭遇してはいるが、四六時中艦内で作業する兵士たちは戦況も全くと言うほど知ることが無い。日常は過酷な作業と旧兵による「罰直」と言う名の暴行の横行。同僚と会話する機会も少なく「戦友という感情が芽生える余地ががない」(高橋 2025、96)。「負け戦で退却中であっても、自艦に損傷がなければ艦内生活には、何の不自由もない。食糧にしても、嗜好食品にしても充分に積み込んであるので、夜食の汁粉まで作ることができた」(高橋 2025、202)。ここは陸軍との大きな違いだ。しかし、戦争の不条理はどこであれ何の違いもない。「兵隊達は何も知らされず納得できない不運を背負わされて死んでいったわけである」(高橋 2025、313)。
高橋孟、2025、『海軍めしたき物語』、中央公論新社。

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