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柴崎友香『週末カミング』

演劇『母と暮せば』

戦争が終わって3年後。長崎で被爆した母の前に被爆で死んだ息子の幽霊が現れる。登場人物はこの二人だけだ。二人の会話を通じて、息子の無念と母の苦しみが浮き彫りになる。母を苦しめるのは、息子を失った悲しみだけではない。原爆病発症の恐怖と原爆に対する世間の無理解や偏見、そして忌避だ。映画『黒い雨』とも重なるテーマ。しかし、戦争を、被害者としての、個々人の内なる問題として描く作品には、どこか物足りなさを感じてしまう。

栗山民也演出、『母と暮らせば』、こまつ座。
観劇日:2024年8月30日
劇場:紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA

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