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柴崎友香『週末カミング』

映画『黒い雨』

冒頭から終わりまでずっと息苦しくなるような映画。でも終始目が離せない。原爆投下後の地獄絵図のような広島の描写、そして黒い雨。さらに恐ろしいのは戦後の被爆者への無理解と差別。被爆者の発症への恐怖。それらが登場人物たちを苦しめて狂気にいざなう。

田中好子は2011年震災から間もない頃に闘病の末に亡くなった。亡くなる直前に声を振り絞って語ったメッセージが忘れられない。彼女は自らの命が尽きようとしているのに、被災された方の役に立ちたいと語ったのだった。その姿とこの映画の演技とがどうしても重なり合ってみえてしまう。


監督:今村昌平、1989、『黒い雨』
映画視聴日:2024年6月18日
映画館:新文芸坐

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