『南の島に雪が降る』。原作は加東大介の体験記だという。主演はその本人。激戦地ニューギニアで兵士たちを鼓舞するための劇団づくりを命じられ舞台を作り演芸を披露する。補給も断たれ食料も水も満足に無い戦地で本当にこんなことがあったのか。地獄の中の桃源郷のようだ。
『喜劇 あゝ軍歌』。こちらは戦後、遺族相手の観光ガイドで商売する戦友同士が繰り広げるドタバタ劇。戦時中は気狂いのフリをして病院に送り込まれていたという設定。戦中戦後と酷い時代を逞しく生き抜く悲喜劇。観客の大半が様々に戦争の辛苦を経験していたであろう頃の公開。それぞれが自らの体験と重ねて観ていたのかもしれない。
蛇足だが、加藤大介と戦争といえば、小津安二郎の映画『秋刀魚の味』で、「(戦争に)負けてよかったじゃないか」と笠智衆が語り、加藤大介が「そうかもしれねえな、バカな野郎が威張らなくなっただけでもね」と応じたシーンが印象深い。
監督:久松静児、1961、『南の島に雪が降る』
監督:前田陽一、1970、『喜劇 あゝ軍歌』
映画視聴日:2026年8月13日
映画館:新文芸坐

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