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映画『不毛地帯』

山崎豊子の同名小説原作、50年前に公開された映画。仲代達矢演じる主人公壱岐正は瀬島龍三をモデルにしていることは明らか。戦時中は大本営参謀、11年に及ぶシベリア抑留から帰還した後、大手商社に入社し自衛隊次期戦闘機選定をめぐる商戦で暗躍する。勝機と見るや汚い手を使うことも厭わない。家庭を顧みることはなく、人前では寡黙で本心を隠すかのような佇まい。戦時中や抑留中のことには口を閉ざす。しかし戦友に対してはひとかたならぬ紐帯を保つ。戦争をくぐり抜けてきた人間が、戦後の高度成長を牽引する存在となること、それを美化しているかのように映る。娘役の秋吉久美子が戦後の平和主義を語り父親を批判する場面も印象的。3時間を超える作品だが最後まで緊張感ある展開。この時代の映画は現代とは違う凄みがある。


監督:山本薩夫、1976、『不毛地帯』
映画視聴日:2026年7月24日
映画館:新文芸坐

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