1954年公開の初代ゴジラを初めて観た。戦争が終わって10年も経っていない時期、未だ人々の生活の中に戦争の傷跡が色濃く残っている。加えて、この年は第五福竜丸の事故があり、原爆マグロや放射能雨が怖れられていた時でもある。水爆実験によって目覚めたゴジラという設定は、まさにこの時代の社会を描いた作品だった。ゴジラが破壊した東京は、東京大空襲で焼け野原になった街と相似形に映る。単なるSFとか怪獣映画ではなく、当時の観客にとってリアリティある映像だったことは想像に難くない。ラストでは、戦争で片目を失明した科学者が発明した薬物を、自ら潜水して海中にいるゴジラを死滅させ、自らも海の底に沈む。人間機雷の特攻兵器「伏龍」を想起したのは考え過ぎだろうか。
監督:本多猪四郎、1954、『ゴジラ』
映画視聴日:2026年5月13日
映画館:新文芸坐

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