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島尾敏雄・吉田満『新編 特攻体験と戦後』

島尾は「震洋」特攻、吉田は「大和」海上特攻体験をもつ。その二人が戦後三二年を経た後に対談。島尾は俯瞰的、厭世的に語るが、吉田は自問自答を繰り返しているように映る。一言で特攻と言ってもくぐり抜けた体験は異なり共通点を見つけることすら難しい。ただ一つ感じるのは、二人ともに特攻については兎も角も、戦争そのものに対する忌避感は意外なほど薄い。「自分が特攻隊員として何かやって、それで戦局が挽回するとは考えられなかったけれども、自分が死ぬことによって、日本の人たちがあとでいくらかでもいいようになるなら、もって瞑すべしだ、ぐらいのことは考えていた」(吉田 2014、165)。当時高等教育を受けていた人物でさえこのような考えに染まり、戦後もその考えに心を寄せているのは信じられない。2014年に書かれた加藤典洋の解説に頷く。「戦争が終わり、三二年後に語られた特攻体験が、さらに三七年をへて、「わかりやすい」はずがあるものか。そうなら、「わかる」ことなんて、なんてつまらぬことか」(加藤 2014、213)。

島尾敏雄・吉田満、2014、『新編 特攻体験と戦後』、中央公論新社。

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