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映画『日本のいちばん長い日』(2015)

橋本直子『なぜ難民を受け入れるのか──人道と国益の交差点──』

「国民国家と難民はコインの両面の関係にある」(橋本 2024、4)。国民国家は権力が線引きした同質性をもって形成される。そもそもが人為的に作られたものだ。その同質性を乱すとされた者が難民となっていく。難民の受け入れ方法には主に「待ち受け方式」(難民が自力で受入国にたどり着いたケース)と「連れて来る方式」(外国にいる難民を能動的に受け入れるケース)がある。日本における難民のイメージは前者が大半ではないだろうか。木造船に乗って辿り着くボートピープルのような。しかし、難民を多く受け入れている欧州の国々の主流は後者だという。目的はタイトルにあるように人道と国益。ここ数年でも日本はウクライナ人は寛大に受け入れアフガニスタン人は拒んだ。その不均衡は何故なのか。先進的な欧州の国々も極右政党の躍進で受け入れの縮小しているが日本の受け入れ状況は比較にならない程に微々たるものだ。本書は筆者が国会の参考人として承知された際の答弁で締められる。「たまたま日本に生まれ、もし日本が「いい国」だと思っていらっしゃる方がいるとしたら、日本がいい国であるということを、たまたま「悪い国」に生まれた方々と分け合っていただけないでしょうか。それがまさに難民条約の前文に謳う、難民保護を世界の国々が協力して責任分担するということです」(橋本 2024、255)。

橋本直子、2024、『なぜ難民を受け入れるのか──人道と国益の交差点──』、岩波書店。

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