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直木賞作家、多才、破天荒、サングラス、ウィスキーのCM、野坂昭如のイメージはこんなところか。そして自称「焼跡闇市派」。それの意味するところをこの本で初めて理解した。終戦前後の文学者たちの日記を手がかりに、あの戦争を市井の人々はどう生きて、何を思っていたのか、そして野坂自身はどう生き延びたのかを振り返る。「日本人は戦争を天災の類いとみなしている。(中略) 日本人は戦争を伝えていない。「しようがなかった」で済まそうとしている」(野坂 2020、12)。「指導者の責任を棚上げにし、その半ば以上を国民に負わせた「一億総懺悔」論の意図は何なのか。(中略) これほど虚仮にされて、国民は怒らない」(野坂 2020、106)。「戦争は馬鹿馬鹿しい。馬鹿馬鹿しいだけじゃなく、むごたらしい。それを後世の人に伝えることは、少しでも戦争を知る者に課せられた義務」(野坂 2020、266)。野坂の戦争へ向き合う姿勢は実に真っ当だ。こんなふうに真っ当に怒る人が今はいなくなってしまった。
野坂昭如、2020、『新編「終戦日記」を読む』、中央公論新社。

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