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映画『トニー滝谷』

梯久美子『硫黄島 栗林中将の最期』

硫黄島戦の総指揮官栗林忠道中将の最期の姿を追う。硫黄島戦をめぐる様々な資料や関係者たちの証言などから、戦時下で何が起きていたのか真相が浮かび上がる。「玉砕の際、最高指揮官は確実に死ななければならない。陣地内で自決するのが通例であるのは、出撃すれば負傷して捕虜になる可能性があるからだ」(梯 2015、45)。沖縄戦の牛島満第32軍司令官や大田実海軍中将も同様だが、指揮官が自決することの意味や合理性が全く理解できない。徹底した防御作戦で圧倒的戦力差のある米軍に善戦した栗林は名将とされるが、戦争に称えられることなど何一つないではないか。興味深かったのは、硫黄島に近い父島でおこなわれていた米軍捕虜の斬殺と人肉食。最近見た何本もの映画に悉くこれに似た話がいくつも出てきていた。そこかしこの戦場でこのようなことがおこなわれていたのだな。

梯久美子、2015、『硫黄島 栗林中将の最期』、文藝春秋。

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