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「給水塔と亀」は、定年で無職になった一人暮らしの男が、都会から故郷の町に引っ越す話。同じような選択をしようかと時おり想像してみることがある。缶ビールを開け、水茄子の漬物を齧る。そんな故郷の風景にいる自分の姿を、都会に住む自分の目で覗き見る。「地獄」と「浮遊霊ブラジル」は死後の話。死んでも尚、煩悩は消えてなくならず、つまらない欲望にまみれる姿が滑稽であり、哀れだ。人が生きるとは、くだらないことをひたすら考え続ける何とも愚かなことの繰り返し、そう思わされる。
津村記久子、2020、『浮遊霊ブラジル』、文藝春秋。
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