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今村夏子『むらさきのスカートの女』

語り手である「黄色いカーディガンの女」のストーカーのような目線で、「むらさきのスカートの女」の日常を描写していくストーリー。「むらさきのスカートの女」の、社会に順応するのが不得手な様や奇妙に映る仕草になぜか惹きこまれる。だが彼女は、徐々に職場での居場所を獲得し、ごく普通の中年女性に変貌していく。逆に終盤には「黄色いカーディガンの女」の奇妙さ、「むらさきのスカートの女」とは対照的な存在感の無さが際立ってくる。その反転がこの小説の怖ろしいところかもしれない。

今村夏子、2019、『むらさきのスカートの女』、朝日新聞出版。

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