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70年代の連続企業爆破事件に関わった過激派メンバー桐島聡が入院先の病院で本名を明かし、数日後に末期のがんで死亡した、というニュースに接した時、思いの外感慨深い気持ちがよぎった。当時の事件は小学生の頃だったがよく覚えている。深くは知らないまでも、学生運動が過激化した成れの果て、というイメージを漠然と抱いた。映画は事件の詳細や政治性を深追いすることなく、ひたすら桐島の日常を追う。小さな土木工事の会社に住み込みで働く姿は、逃亡生活のイメージとはかけ離れたものだ。仕事に対して極めて勤勉。寡黙で自分の心の内は秘めているが、時に明るく酒を飲み、周りからも信頼される。差別に怒り、虐げられる者には優しく接し、利他的な行動を厭わない。監督は、この50年の日本社会と隔絶したパラレルワールドに桐島という存在を配して、ある種のファンタジーを作って見せたのではないか。そしてこの物語に惹かれてしまうのは、桐島の生き方が自分に重なるような気がするからだろうか。
監督:高橋伴明、2025、『「桐島です」』
映画視聴日:2025年7月8日
映画館:新宿武蔵野館

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