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かつて詩人草野新平が開いた酒場が新宿ゴールデン街に場所を変えて営業していた。店の名は「學校」。そこで半世紀ママをしている禮子さん、そして「學校」に夜ごと集う個性的な客の面々。ひょんなことから店を手伝うことになった筆者が、彼らを実に魅力的に描く。でも一番魅力的なのは筆者金井真紀その人だ。色眼鏡なく自然に彼らに接し、彼らを観察する文章は滋味にあふれている。その分け隔てない愛情は彼らに緩やかに、でも確実に伝わる。最後、「閉校」する場面では涙腺が緩んだ。「起こることすべてに意味があって、人生は続いていく」(金井 2023、202)。「他人に見えているカードはほんの一部だから、それだけを強引に関連づけてわかった気になるのは浅はかだ」(金井 2023、203)。本当にそうだなあ。
金井真紀、2023、『酒場學校の日々──フムフム・グビグビ・たまに文學──』、筑摩書房。
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