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戦後80年目の戦場体験上映会

映画『大日向村の46年』は1985年公開のドキュメンタリー。1938年(昭和13年)長野県の大日向村が村民の半分を満州移民させる。当時国策だった満州開拓のモデルケースとして大日向村は大いに喧伝された。実際満州では広大な土地で「満人」「鮮人」を使って農業を営み、何不自由無い暮らしをおくっていたという。それが敗戦で境遇が一変。飢餓と疫病にまみれた難民生活となる。そこで団員の半数が死ぬ。日本に帰ったが元の大日向村に居場所は無く、浅間山麓の軽井沢を開拓する。満州では関東軍の武力を背景に安値で現地農民から収奪した土地を貪る侵略者であった立場が、敗戦後は一変、国に見棄てられ、忘れ去られる。満州で夫や子供を亡くし引き揚げ後も苛酷な開拓生活を生き延びた女性は、満州に行ったことを後悔していないと語る。その言葉は額面通りには受け取れない。自らの過去を否定してしまえばここまで生き残ってきた人生全てを断罪することに等しいからだろうか。さんざんけしかけた国は何の責任も賠償もせず、見向きもせず、個人の責任に帰してしまう。


日比谷図書文化館 日比谷コンベンションホール
開催日:2025年7月12日、13日

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