沖縄慰霊の日に観る。カメラは沖縄戦最後の激戦地摩文仁の丘にある3つの慰霊碑をめぐる人たちを追う。「魂魄の塔」追いつめられ逃げ場を失い、死に至った住民たちの夥しい数の遺骨を納めた慰霊碑。長年そこで参拝用の花を売ってきた女性の祈りが伝わる。「黎明の塔」第32軍牛島満司令官と長勇参謀長を祀った碑。慰霊の日の早朝に参拝する自衛隊幹部たち。そして「英霊」を顕彰するために本土から来たライトな右翼たちの異様な姿。彼らは沖縄戦を何だったと思っているのだろう。「平和の礎」建立したのは自らも鉄血勤皇隊として日本軍と行動をともにしていた大田昌秀元県知事。
第32軍牛島満司令官の孫と海軍大田聡司令官の孫がそれぞれ沖縄戦について語る姿は印象的だ。牛島の孫は「黎明の塔」には参拝しないことを貫く。英雄視される祖父という姿ではなく、葛藤がありながらも自ら沖縄戦とは何だったのか考え抜いてきたように映る。
監督:新田義貴、2025、『摩文仁 mabuni』
映画視聴日:2025年6月23日
映画館:シアターイメージフォーラム
コメント