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映画『ひめゆり』

観るのは2回目。生存者の証言を、それを体験した場所で聞き取りをする。その場所だから尚更であろうか、当時の記憶が鮮明に蘇る。戦場の真っ只中で苛酷な労働(いや、労働と呼べるものではない)を強いられ、その挙句に解散という言葉で、壕を追い出され戦場に投げ出された。生き地獄という使い古された言葉では到底表現できない。戦後に至っても、この筆舌に尽くし難い理不尽の十字架を背負い続けたのは他ならぬ生き延びた彼女たち自身であった。それにしても「生きて虜囚の辱を受けず」という教育の罪深さをあらためて痛感する。彼女たちを自決に追い込んだのは、自分だけでなく親戚親兄弟までも「非国民」にしたくないという考えに囚われていた帰結に他ならない。沖縄戦に対して無知蒙昧な発言をして恥じることのない政治家たちはこの映画を観るべきだが、そうした人間には何を見せても通じない、既に別の世界にいるのだろうと悲観的にもなる。



監督:柴田昌平、2007、『ひめゆり』
映画視聴日:2025年6月25日
映画館:ポレポレ東中野

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