最新の投稿
- リンクを取得
- ×
- メール
- 他のアプリ
社会の片隅にいる、人間関係にも経済的にも恵まれているとは言えない孤独な人物たち、多くはロストジェネレーション、あるいは就職氷河期世代と思しき人物が主人公の短編集。それぞれ内なる葛藤を抱えながらも、絶望することなく冷静に自分自身を見つめ日々を送る。表題の『サキの忘れ物』は「これまでの人生で、最後まで読めた本は一冊もない」という喫茶店のアルバイト店員の女性が主人公。その彼女がちょっとした出会いから書店の店員になる話。何気ない日常のなかでも、人は誰かに影響され、誰かに影響を与えるものなのだ。少しづつ人生が動いていく姿に惹き込まれる。
津村記久子、2023、『サキの忘れ物』、新潮社。
コメント