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柴崎友香『週末カミング』

映画『能登デモクラシー』

石川県穴水町。年少人口、生産年齢人口、老年人口のいずれもが減少する人口減少の最終段階にある町。町長は定例会見を開かず、町議会は質疑もなく淡々とすすむ。メディア取材も少なく、権力監視が機能しているとは言い難い。二元代表制を理解すらしていない議員がいると監督は言う。議院内閣制をとる国政とは異なり、住民は首長と議員の両方を選挙で選ぶ。議会と首長は互いにチェックし合う緊張関係になければこの制度は機能しないのも同然だ。その町において手書きの壁新聞を作り、町の様々なボランティア活動に勤しむ1人の人物にフォーカスをあてる。まさに民主主義の体現者であり、町の希望にさえ映る。ラストで監督は、町長が町議会選挙に当選した議員に金券を手渡した映像を町長自身に見せる。過去からの慣例に従い、違法性の認識も無く、どこからも批判を受けず、政治がおこなわれているひとつの証だ。日本の隅々でこの町と同様の、名ばかり民主主義が蔓延っている気がしてならない。


監督:五百旗頭幸男、2025、『能登デモクラシー』
映画視聴日:2025年5月26日
映画館:ポレポレ東中野

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