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柴崎友香『週末カミング』

映画『太陽(ティダ)の運命』

見応えあるドキュメンタリーだった。監督の佐古忠彦は、米軍統治下に沖縄の市民のために活動した政治家瀬長亀次郎の足跡を追った映画を2本出している。この映画は、本土復帰後を代表する2人の沖縄県知事、大田昌秀と翁長雄志の闘いを辿ったものだ。翁長雄志がその時知事だった大田昌秀を強烈に批判する急先鋒だったとは知らなかった。保守と革新の激しい対立の渦中にいたのだ。その翁長が知事になると、その歩みは次第に大田と相似形となる。米軍新基地建設をめぐる政府と県との対立だ。立場の異なる二人ではあったが、沖縄戦を繰り返してはならないという矜持がそれぞれの根っこにあり、決してぶれない。それに対し、理不尽な要求を平然と繰り返す政府の鉄面皮には呆れ果てる。日本の問題を沖縄の問題に矮小化して押し付ける。彼らは歴史を理解していないことを少しも恥じる心を持ち合わせていないのだ。


監督:佐古忠彦、2025、『太陽(ティダ)の運命』
映画視聴日:2025年4月30日
映画館:ユーロスペース

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