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星亮一『呪われた明治維新──歴史認識「長州嫌い」の150年──』

タイトルはおどろおどろしいが、内容はいたって穏当、様々な方面の識者に取材して得た言葉を紡いだものだ。会津の視点から明治維新150年の歴史認識を追い求めている。明治維新、そして明治の時代については肯定的な評価が大勢を占めるように思うが、その多くは長州の語りであることは疑う余地がない。歴史というものは多くの場合勝者によるナラティブなのだ。だがそれは会津からみれば実に理不尽なものだ。だからこそ150年後になっても鬱屈したルサンチマンと臥薪嘗胆の思いが消え失せない。伊東正義が記者団の前で何度も長州嫌いを公言する逸話は興味深い。その伊東が政界引退した時の言葉が実に会津人らしい。「私はいかなる時も自分の信念に基づき行動し、ならぬものはならぬの精神を胸に、嘘をつかず国民から信頼される政治を心掛けてまいりました」(星 2017、214)。比べるのも伊東に失礼な話だが、息を吐くように嘘を重ねた長州人安倍晋三とは正反対の政治家だった。

星亮一、2017、『呪われた明治維新──歴史認識「長州嫌い」の150年──』、さくら舎。

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