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戦場体験放映保存の会という団体が主催したイベントに参加。この会は、戦場を知る人々の体験談をビデオなどに記録する活動をおこなっている。一つ目の講演は、13歳の時に米軍のテニアン島上陸を体験した佐藤孝則さんの話。テニアン島と言えば1945年広島長崎に原爆を投下したB29が飛び立った島でもある。その1年前の1944年、米軍がテニアン島に上陸、家族とはぐれてたった一人で島内を逃げ惑い、最終的には米軍に投降して収容所へ。現在94歳というが当時の記憶を鮮明に語る姿には驚いた。死と隣り合わせの消し去ることのできない記憶なのだ。二つ目の講演は、ドキュメンタリー番組の映像ディレクター太田直子さんの話。テニアン島とサイパン島から戦後引き揚げた人々の証言映像の記録について。玉砕の島と言われているが、実際には全員が死んだのではない。そこを生き延びた凄惨な体験には言葉を失う。ここでは沖縄戦の1年前に集団自決がおこなわれていた。民間人を守らない日本軍兵士、先住民族チャモロへの差別、米兵の残虐行為など戦争の地獄絵図そのものだ。
今回の講演で、南洋興発という会社を初めて知った。南洋興発は1920年代に設立された企業で、テニアン島やサイパン島をはじめとしたマリアナ諸島でさとうきび栽培から精糖事業を担っていた。満洲を拠点とした南満洲鉄道に対して、南洋諸島を舞台に発展したため、「海の満鉄」とか、「北の満鉄、南の南興」と並称されるほどの存在だった。設立したのは松江春次、会津若松市の生まれで会津中学卒業の1回生。人望のあった松江を慕って、南洋興発には福島県出身者も多く、佐藤孝則さんの父親もその一人だった。さらには、さとうきび栽培事業のために沖縄出身者も多かったという。
開催日:2024年12月7日
場所:文京シビックセンター スカイホール
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