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赤瀬川原平『戦後腹ぺこ時代のシャッター音──岩波写真文庫再発見──』

1950年代前半に発刊されていた岩波写真文庫というシリーズを、半世紀後に、現代の視点から批評した作品。戦争が終わって5年余り、まだ日本中を貧乏が支配していた。終戦直後ほどではないにしろ、食べ物も潤沢では無かった。「生きものは、何かを食べて生きている。(中略)人間の場合、食べ物にも飢えるが、知識に飢える。活字にも飢えるし、写真にも飢える」(赤瀬川 2007、213)。アメリカ、ソ連、汽車、自動車、石炭、塩、捕鯨などなど様々な写真が、当時を知らない自分にも、時代の空気が伝わってくるようだ。単に昔は良かったという視点ではないが「食品添加物とか体脂肪とか、自分探しとか、そういうことにくよくよせずに生きていた時代の気分が懐しい」(赤瀬川 2007、64)と筆者は回想する。

赤瀬川原平、2007、『戦後腹ぺこ時代のシャッター音──岩波写真文庫再発見──』、岩波書店。

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