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中島岳志・若松英輔『いのちの政治学──リーダーは「コトバ」をもっている──』

全編を通して、「言葉」と「コトバ」の話が取り上げられる。言語によって伝えられるのが「言葉」、その人の態度や存在そのものから、言葉の意味を超えた何かが伝わってくるものが「コトバ」という。「そうしたコトバを発せられる人こそがリーダーなのではないでしょうか。そのコトバが我が国のリーダーには存在していない」(中島 18、2021)と、現在の日本の政治家を批判する。二人の対話の俎上に載せられているのは、聖武天皇、空海、ガンディー、教皇フランシスコ、大平正芳。彼らはコトバをもっている政治家であったと。そしてリーダーを選ぶ私たちについても問いかける。「本来ならリーダーを選ぶというのもきわめて参与的なことであるべきなのに、日本の選挙においてはそれさえが観察的になっている」「自分だったらどういう社会をつくっていきたいのか(中略)いろんな人の立場に立ちながら、どんな人が「よいリーダー」なのかを考えることが、リーダーを選ぶときには必要なはずです」(若松 116、2021)。

中島岳志・若松英輔、2021、『いのちの政治学──リーダーは「コトバ」をもっている──』、集英社。

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