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茨城県阿見町にあるこの博物館は、戦前この地に霞ケ浦海軍航空隊と飛行予科練習部(予科練)があったことから、その歴史を記録展示するために作られた。館内の展示は、主に予科練に入隊した少年たちの訓練、日常の生活、卒業後の海軍入隊に至るまでを、実物や写真などで構成している。14歳から17歳までの少年が予科練に入ったのは、もちろん海軍への憧れもあったが、家族の生活困窮からという動機も少なくなかった。そして戦況が悪化するなか予科練を卒業した彼らは戦地に赴く。特攻として出撃したものも多く、驚くべきことに予科練出身の兵士の8割が戦死している。しかしこの展示で残念に感じたのは、今の中高生ぐらいの少年たちに軍事教育をおこない、どうして無謀な戦争に追いやったのか、その視点が欠落していることだ。まるで何か悲劇の物語であるかのようだ。展示の最後に特攻の映像があった。その映像の最後に「今の日本の平和があるのは、尊い犠牲の上に築かれていることを忘れてはならない」というナレーションがはいった。これは戦没者慰霊の式典などでもよく聞かれるフレーズだ。これを聞くと、大きな疑問を持たざるを得ない。この語りは、なぜ「尊い犠牲」を出してしまったのか、国の責任をあいまいにしているように感じるからだ。国家のおかした過ちや失敗を、美辞麗句で覆い隠そうとしていないだろうか。
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記念館建屋の横には零戦と回天の実物大模型が展示されていた |
予科練平和記念館
訪問日:2024年12月10日
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