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柴崎友香『週末カミング』

映画『箱男』

安部公房の小説の映画化。原作を読んだのは40年以上昔のことなので細かな内容は覚えていないが、奇抜な設定と相反するリアリティを感じたと記憶する。こうしたシュールレアリスムの小説を映像化することは、作り手の固定的なイメージや個人的な解釈を強制されることでもある。とはいえ、自らの匿名性は頑なに守りながら、一方で他者を極端に警戒し、時に攻撃的になる人々の習性は、現代も何ら変わることがない。それだけに、ラストで「箱男はあなただ」とナレーションが入ったのには閉口した。それは観客自身が作品を観て感じることでもあろうし、説明されることではない。一気に興醒めした。

監督:石井岳龍、2024、『箱男』
映画視聴日:2024年9月5日
映画館:ユーロスペース

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