最新の投稿

中国新聞「決別 金権政治」取材班『ばらまき 選挙と裏金』

2019年参院選広島選挙区での大規模買収事件とそれに纏わる自民党の裏金問題を追い続けた中国新聞取材班によるドキュメント。2019年から今年2024年までの取材を、事件の流れとともに生々しく書き綴られている。数々の苦難を乗り越えてスクープ記事につなげる奮闘の記録は、エンターテイメント小説のようでもある。そして河井克行・案里夫妻による買収事件は昨年2023年末に発覚した自民党裏金問題と不可分だ。と言うより、裏金がどう使われるのか、河井事件はその一例に過ぎないのだ。そして例の「すがっち500」のメモで疑念の沸く内閣官房長官の機密費の問題もある。真相は未だに明らかになっておらず事件は未だ終わってはいない。「政治家は社会のルールである法律をつくり、国民の税金の使い道を決めるという重責を担う。ところが、その根本となる『政治家を選ぶ選挙』で、法律が禁じている買収をしてでも当選しようとする候補者がいて、買収の金をもらって応援する政治家もいた。しかも、買収疑惑が表面化しても、自らの責任を逃れ、立場を守ることばかりに汲々とし、有権者に正面から向き合おうとしない姿ばかりを見せられた。(中略) そういう政治とは決別したい。そのための一助になればという思いが、私たちを突き動かした」(中国新聞 2024、18-19)。このような矜持を持ったメディア記者の存在がこの社会には無くてはならないものだとあらためて強く思う。

中国新聞「決別 金権政治」取材班、2024、『ばらまき 選挙と裏金』、集英社。

コメント