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日本各地の14の平和博物館を紹介している書。14のうち自分が行ったことがある博物館は5つ。残り9については是非行ってみたいと思わせる。特攻、毒ガス、原爆、空襲、マラリヤ、満蒙開拓、対ソ戦...それぞれが対象とする展示は多様だ。この多様さは先の戦争の多面性、問題の多様さと根深さを如実に表している。しかもどれをとっても、戦後にその問題が明らかにされ、教訓として根付かせることができているとは言い難い。とは言え、各博物館に携わる研究者、学芸員、スタッフの努力と熱意には頭が下がる。歴史を伝え残す場所は無くてはならない。「戦争ミュージアムは、死者と出会うことで過去を知る場所であると私は考えている。過去を知ることは、いま私たちが立っている土台を知ることであり、そこからしか未来を始めることはできない。」(梯 2024、210)。
詩人石垣りんの作品の一節が印象的だ。
戦争の記憶が遠ざかるとき、戦争がまた私たちに近づく。そうでなければ良い。(梯 2024、101)
梯久美子、2024、『戦争ミュージアム──記憶の回路をつなぐ──』、岩波書店。
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