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沖縄の本土復帰前年1971年に公開された作品。無論、ここでの戦争は日本とアメリカとの戦いなのだが、この映画においてその視点はほぼ感じられない。代わりに、本土と沖縄、大本営と沖縄の日本軍との対立が基軸になっている。さらに言えば、大本営は本土防衛のために沖縄を捨て石にし、見殺しにする。そして一方で、沖縄の中においては、住民の犠牲を厭わない日本軍の横暴がある。激しい戦闘、負傷者であふれる壕、これほど惨い大量の死者で溢れる映画もないであろう。映画としてはフィクションの体裁をとってはいるが、全編が史実に基づいたもので、この地獄絵図は誇張ではない。20万人を超える命が喪われたのは現実に起きたことなのだ。戦争の残忍性、理不尽、不条理がこれでもかと詰め込まれている。唯一希望をイメージさせるのは死体をかき分けて彷徨う一人の子どものシーンだけだ。当時の名立たる俳優たちを勢ぞろいで出演させて、このような反戦映画をよく作れたものだと感心する。今だったらとても実現しないであろう。残念なのは、小林桂樹演じる牛島中将以下の軍幹部が人格者として描かれていること、そして自害する姿をヒロイックに映していることだ。彼らの無責任の極みを美化してはいけない。
監督:岡本喜八、1971、『激動の昭和史 沖縄決戦』
映画視聴日:2024年8月6日
映画館:新文芸坐
1965年公開『独立愚連隊』シリーズ作品の『血と砂』も観た。このシリーズはもう食傷気味だ。戦闘での討ち死にシーンが多すぎて、コメディとはいえ観ていて辛くなる。
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