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柴崎友香『週末カミング』

ひめゆり平和祈念資料館

1945年3月米軍の沖縄上陸作戦開始後、沖縄陸軍病院に動員された240人の生徒たち。そして136人が命を喪う。展示の始めの方に、前年の修了式の時に撮られた集合写真が大きく掲げられていた。その笑顔を見ているだけで涙が溢れる。沖縄戦前の学校生活の紹介から始まり、戦場の実相と証言映像、戦後の歩みと順番に続く展示は変遷が分かりやすい。戦争というものの非人道性、醜悪性、残酷性、数多の理不尽が凝縮されている。ひめゆりには「戦場に散った可憐な乙女たち」というようなイメージで喧伝されることもあるが事実は大きく異なる。民間人を大量殺戮したアメリカ、軍民一体の戦闘協力の名の下に生徒たちを動員し利用して最後には死を強いた日本。この資料館を訪れた誰もが、戦争における国家の愚劣さに改めて気づかされるはずだ。慰霊碑のある場所には、多数の犠牲者を出したガマが暗い口を開けている。




ひめゆり平和祈念資料館
訪問日:2024年5月30日

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