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温又柔は台湾で生まれ、幼少期に日本に移った作家。この小説は、主人公の女性、台湾生まれで日本育ちの女性、同性を好きになる男性の3人の関係性を軸に描かれる。しかし、生まれた国や性的な嗜好が主題になっているわけではない。誰しもが持っている自らの属性に悩み、葛藤して歩んでいく物語だ。その属性がマイノリティである場合は特に、生きづらさがあるだろう。周囲の人たちと自分とを比べて、自分が少数派であれば孤立を感じたり、皆と同じであれば安堵したり、人は日々そんな属性に振り回されているのではないか。この本を閉じてそんなことを考えた。ちなみに「永遠年軽」という言葉は作品の中には出てこない。「これかもずっと、これからの人生では、今がいちばん若いんだからね」(温 2022、51)。おそらくこの言葉がその意味するところなのであろう。
温又柔、2022、『永遠年軽』、講談社。
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