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青木理『時代の異端者たち』

ジャーナリスト青木理の対談集。登場する9名が放つ言葉はどれも真っ当であり、且つ膝を打つものばかり。それにもかかわらず彼らは今の社会において王道を歩む存在とはなっていない。「時代と社会の歪みが本書に登場する9人をして『異端者』たらざるを得なくしてしまっている」(青木 2021、6)

読んでいるとその社会の歪みに絶望的な思いをもってしまう。その歪みの元となっているものの正体は何なのかと考えると、原因のひとつには共通して過去の歴史への無理解があるのではないか。9人それぞれの言葉のなかにそれを感じる。例をあげれば河野洋平の以下の言葉だ。

いまや自民党のなかは「いつまでむかしのことを引きずっているんだ」という雰囲気一色です。いくら過去の歴史を真摯に考えるべきだと言っても、「お前はまだそんなことを言っているのか」と一蹴する雰囲気に覆われてしまっている。(青木 2021、162)

青木理、2021、『時代の異端者たち』、河出書房新社。

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