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著者本田靖春のイメージは反骨・孤高のジャーナリスト。1971年から1999年の間に様々な雑誌に掲載されたノンフィクションを収録した作品集。つまり古くは50年以上前の書かれた文章である。しかし全く古びていない。それは社会の普遍的な問題に切り込んでいるからなのか、日本がその間進歩していないからなのか。
いましきりに政治不信が叫ばれているが、その火付け役である新聞への不信が広がるとしたら、社会はどうなるのか。それでなくても、昨今、新聞を嗤う危険な風潮がでてきているではないか。(本田 2019、25)
政治はあくまでも現実であって、醜くない政治というのは、われわれの手に永遠ににぎれないのかもしれない。(本田 2019、95)
前者は89年、後者は72年の作品からの引用だ。2024年にそのままあてはまる指摘ではないか。本著の編集者であった武田砂鉄が「対象が風化しても視点は風化しない」と評しているが、正鵠を射ている。
本田靖春、2019、『複眼で見よ』、河出書房新社。
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