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柴崎友香『週末カミング』

映画『映画 ○月○日、区長になる女。』

本人が意識しているかどうかに関わらず政治に無関係な人などいない。言い換えれば、人の生活の先に政治がある。そして最も身近な政治の場が居住する自治体の首長と議会だ。にもかかわらず国政に比べて関心は概して低い。かく言う自分もそうだった。この映画に登場する市民たちは皆自分の生活の問題を選挙を通じて政治に反映させようと行動する。まさにミュニシパリズム、草の根民主主義の実践。決して理想的なことばかりではないが、試行錯誤の中に希望を感じさせるドキュメンタリー。

些末だが気にとまったシーンがあった。区長となる岸本聡子が自分の名前を「公の心を聴く」と自己紹介するシーンだ。「公(おおやけ)」という言葉は一般には「お上」「国家」「政府」をイメージする人が多いと思われるが、彼女の言う「公(おおやけ)」は「公共」「public」「市民たち」という意味合いだ。この意識は日本においては残念ながらあまり根付いていない考え方だが、民主主義の主体は市民たちに他ならない。そのことをあらためて気づかせてくれる。

監督ペヤンヌマキ、2024、『映画 ○月○日、区長になる女。』。
映画視聴日:2024年1月12日
映画館:ポレポレ東中野

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