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ネットなどで散見される「ナチスは良いこともした」論を歴史学の研究者が史実に基づいて検証をおこなった論考。歴史修正主義的な人たちは断片的な<事実>から<意見>へと飛躍していると批判する。
「ナチスは良いこともした」と主張する人たちにあっては、そうした反権威主義的な姿勢はいわゆる「中二病」的な反抗の域を出ず、ナチズムがどんな体制であったのかについては無関心であることが多いようだ。過去の研究の積み重ねから謙虚に学んで、それを批判的に乗り越えていく姿勢はほとんど見られない。(小野寺・田野 2023、111)
最近でも広島市の市長が新任職員研修で「教育勅語」の一部を引用していると報じられた。市長は「教育勅語」について「評価してもよい部分があったという事実を知っておくことは大切だ」とコメントしたという。「教育勅語」が天皇に命を投げ出す臣民という前提で作られたものだという歴史的な<事実>には目を瞑り、都合よく利用した、まさに歴史修正主義ではないか。
小野寺拓也・田野大輔、2023、『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』、岩波書店。
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