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柴崎友香『週末カミング』

演劇『連鎖街のひとびと』

満州の大連が舞台。ソ連軍の侵攻と制圧、関東軍はいち早く日本に逃亡、そこに残された人々の物語。国策によって日本から満州に渡ってきたのにも関わらず、日本政府からは現地定住しろと引き揚げを拒否される理不尽さ。そうした絶望的な背景のなかでも笑いと希望を持って生きる登場人物たち。


こまつ座、井上ひさし作、鵜山仁演出、『連鎖街のひとびと』。
観劇日:2023年11月14日
劇場:紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA

劇の中身とは関係はないが興味深い話がある。劇の舞台は大連のホテルの地下室だが、そのホテルと隣接する百貨店のオーナーである市議会議員がソ連との連絡役として登場する。戦前、満州において、一部の日本の実業家はこうしたビジネスで財を成した。岸田文雄の祖父岸田正記は戦前から衆議院議員だったが、大連で百貨店を経営して成功を収めていたらしい。加えて、岸田正記は当時同じく満州にいた役人だった岸信介とも親交があったという。戦後彼らの孫たちが衆議院議員の同期としてともに首相にまで上りつめたというのもおもしろい。


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