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柴崎友香『週末カミング』

演劇『星をかすめる風』

1945年太平洋戦争末期の刑務所が舞台。収監されていた朝鮮の詩人尹東柱(ユン・ドンジュ)の物語。1942年に日本に渡り立教大学に入学しその後同志社大学に転入。逮捕容疑は治安維持法違反。27歳で獄中死している。

作品は彼をめぐる刑務所の中の物語(フィクション)。ユンの書く詩を読み、看守が徐々にその詩に感化されて変わっていく。他の収監者たちも文学の世界に目覚めていく。

この劇を見終わって、ドイツの映画『善き人のためのソナタ』を思い出した。冷戦時代の東ドイツで反体制的疑いのある劇作家を監視盗聴する国家保安省局員が、劇作家の好む文学や音楽に接するうちに徐々に心を動かされて、最終的には彼を見逃してしまう。

こうしたストーリーはおとぎ話にも思えるが、芸術が心の底にあるのとないのとでは、その人が何を大事にするのか大きく違ってくるのではないだろうか。そんなことを思った。

青年劇場、原作イ・ジョンミョン、脚本演出シライケイタ、『星をかすめる風』。
観劇日:2023年9月12日
劇場:紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA


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