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時間つぶしに立ち寄った書店で偶然にこの本に目が留まり購入。最近読んだ本の中では格段におもしろく一気に読了。
この世界は虐殺に満ちている。過去も現在も。それはなぜなのか、様々な取材を通じて考える。もっと豊かで優しい社会にするにはどうすればいいのか。筆者の記す言葉にひとつひとつ首肯する。
為政者が「国民の生命と安全を守るため」を頻繁に口にするとき、国は大きな過ちを犯す。それは歴史が証明している。(森 2023、24)
身勝手であることを変えられないからこそ、せめて身勝手であることくらいは意識に刻みたい。(森 2023、99)
組織の一部になりやすい日本人は、組織の一部になることの危険性とリスクが身に染みていない。(森 2023、115)
自分の正しさを信じることができる人たちが、例えば領土や領海という概念に執着したとき、自分たちの政治思想や信仰が脅かされそうになったとき、(中略)、きっと取り返しのつかない事態へと行軍を始めるのだろう。(森 2023、153)
やはり集団化と同調圧力が虐殺の理由とメカニズムに大きく関わっているという。そして最後に、集団が暴走するリスクを低下させるために次のことを挙げている。
歴史を知ること。今の位置を自覚すること。後ろめたさを引きずること。自分の加害性を忘れないこと。(森 2023、220)
森達也、2023、『虐殺のスイッチ──一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?──』、筑摩書房。
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