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春日太一『日本の戦争映画』

戦後作られた数多の戦争映画を読み解いた一冊。もっと早くに読んでおくべき本だった。50年代までの作品は、製作側も観客も皆が戦争体験者。他人事ではなく我が事。絶対悪は軍の上層部で、主人公は上層部の被害者、悲劇的な結末、それが基本構図だったという。50年代の終わりから60年代にかけては娯楽化がすすみ、特攻などを肯定的に描く作品も登場する。60年代の終わりから80年代にかけては大作が作られ戦争を通じて客を泣かせる戦争情話がヒットする。90年代以降は「「戦時中に何が起きたのかを知ろうとする現代の若者」に「なかなか口を開こうとしなかった戦争体験者が語り聞かせる」という構図」(春日 2020、186)に変わっていく。そして「経験者が自分自身を仮託する場から、非経験者が自身の理想やメッセージを込める場へ」(春日 2020、190)と移っていく。戦争映画の変遷は、戦後の平和意識の変遷なのだ。

春日太一、2020、『日本の戦争映画』、文藝春秋。

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