8月15日を境に戦争から平和の世界に一変したわけではない。戦闘は終わっても戦争被害は終わらない。子どもの眼差しを通して戦争の終わらなさ、理不尽が描かれる。登場する大人は、皆それぞれ個人としては優しさを持ち合わせていても、社会全体としては冷酷に染まる。被害者が加害者に容易に反転する。痛みつけられるのは子どもや女性の弱き者たちだ。戦争中は天皇への絶対的な忠誠と、国のために命を捧げることを子どもにも強いていたのに、戦後子どもは邪魔者かのように平然と見捨てる。VFXを使ったと思われる空襲で焼け野原となった東京の風景や上野駅の雑踏の光景に少し違和感はもったが若い人たちにはイメージしやすい効果的な演出なのかも知れない。ほんの小さなエピソードだが、冒頭で疎開先の寺から深夜抜け出した時見上げた夜空が真っ赤に染まっているのを見て主人公の少女が思わず綺麗と呟くシーン。母から全く同じことを聞いたことを思い出した。監督は様々な記録や証言を集めて脚本を作り映画を作っていったのだなと思った。
監督:西川美和、2026、『わたしの知らない子どもたち』
映画視聴日:2026年10月23日
映画館:新宿ピカデリー


コメント