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一ノ瀬俊也『軍隊マニュアルで読む日本近現代史──日本人はこうして戦場へ行った──』

徴兵制が始まったのは1873年(明治6年)。本書で「軍隊マニュアル」としているのは明治10年代から太平洋戦争期までに出版された「兵士とその周辺の人々の「あるべき」振る舞いを規定した、(主に)市販の書籍(一ノ瀬 2021、6)。この「マニュアル」を手がかりに、当時の人々が戦争をどのように受け止めていたか解き明かすユニークな内容。「おそらくは誰にとっても、戦争に行って死ぬなどまっぴらごめんというのが本音であったろう。だがそれはいわば本音にすぎず、多くの人々が建前に縛られながら戦争に行き、死んでいった。建前とは重要な、恐ろしいものなのである」(一ノ瀬 2021、10)。「太平洋戦争期における日本人の狂気性の象徴とみなしがちな、捕虜否定の思想、物質的戦力に対する精神力戦力の優越という思考法が、実は「合理的」戦争であったはずの日清・日露戦争の経験から直接引き出されて人々に繰り返し語られ続けていた」(一ノ瀬 2021、213)。「国家のいわば「公式見解」を自分自身の自主的で主体的な思考の結果であるかのようにして受け入れていく、つまり内面化していく」(吉田 2021、230)。あの戦争の狂気を生み出した理由を垣間見たようだ。

一ノ瀬俊也、2021、『軍隊マニュアルで読む日本近現代史──日本人はこうして戦場へ行った──』、朝日新聞出版。

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