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こうの史代『夕凪の街 桜の国』

『夕凪の街』は原爆投下から10年後の1955年、『桜の国(一)』は1987年、『桜の国(二)』は2004年が舞台の連作になっている。『はだしのゲン』のような直球ではなく、全体にとても抑制的に表現されてはいるが、読後はズシリと心に重いものが覆いかぶさる。1955年の広島、主人公家族が暮らす「原爆スラム」が残る。街には原水禁世界大会開催の看板もみえるが、「誰もあの事を言わない」。川面にぎっしりと死体が浮かぶ光景のフラッシュバックに胸が竦む。『桜の国』は被爆三世の心の葛藤が描かれる。差別、そして死の不安が消えることはない。

こうの史代、2004、『夕凪の街 桜の国』、双葉社。

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