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柴崎友香『週末カミング』

映画『そして、アイヌ』

アイヌ文化の伝承者であり、アイヌ料理店の店主でもある女性を中心にして、彼女の周りに集まってくる様々なルーツをもつ魅力的な人たち。例えば、在日コリアンの音楽楽団、被差別部落出身の縄文文化伝承者。彼らはこの社会ではマイノリティであり、それ故に差別の対象にもなっているのだが、紛れもなく、豊かな文化の継承と相互交流の実践者でもある。その輪の中に、奈良美智もいた。芸術の世界は欧米の価値観が主流で、かつて彼自身もその価値観に囚われていたが、東日本大震災を契機に日本の中に目を向けるようになったと語る。その流れにアイヌ文化との関わりもあるという。理不尽な差別の影は拭い難く存在しているはずだが、映画はむしろ、豊饒な文化、多様な交わり、その中に希望を感じさせる。


監督:大宮浩一、2024、『そして、アイヌ』
映画視聴日:2025年3月19日
映画館:ポレポレ東中野

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